4P分析とは?目的や具体的な進め方、活用のコツ

4P分析とは?目的や具体的な進め方、活用のコツ

公開日 2026/02/17

最終更新日 2026/02/24

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4P分析は、マーケティング戦略を実行可能な施策(マーケティング・ミックス)に落とし込むためのフレームワークです。製品・価格・流通・販促の4要素を整合させることで、ターゲット顧客に正しく価値を届け、成果を最大化することを目的とします。

本記事では、4P分析の正確な定義から、4C・3C分析との違い、実務での具体的な進め方、BtoB/BtoCの事例テンプレートまでを網羅的に解説します。

4P分析とは、マーケティング施策を構成する4つの要素「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(販促)」を組み合わせて分析・設計する手法であるといえます。1960年代に提唱されて以来、現代でもマーケティング・ミックスの基本として広く活用されています。

単に4つの要素を埋めることが目的ではなく、各要素がお互いに矛盾なく機能し、全体としてターゲット顧客のニーズを満たしているかを確認・調整するために行います。

4P(Product・Price・Place・Promotion)の要素

4Pは以下の4要素で構成されます。これらは独立して存在するのではなく、相互に強く影響し合います。

  • Product(製品・サービス): 「何を売るか」。品質、デザイン、ブランド、パッケージ、保証、アフターサービスなど、顧客に提供する価値そのものです。
  • Price(価格): 「いくらで売るか」。定価だけでなく、割引条件、支払い期限、信用取引条件、サブスクリプションモデルなどの収益構造を含みます。
  • Place(流通・販路): 「どこで売るか」。販売チャネル(直販、代理店、EC、小売店)、流通範囲、在庫管理、物流配送システムなど、顧客の手元に届くまでの経路です。
  • Promotion(販促): 「どう伝えるか」。広告、人的販売(営業)、パブリック・リレーションズ(PR)、販売促進(SP)など、認知から購入へ導くコミュニケーション全般です。

4P分析の目的とメリット

4P分析の最大の目的は、「誰に(Target)」対して「どのような価値(Value)」を提供するのかという戦略を、具体的な「実行計画」に変換することです。

  • 論点の漏れを防ぐ: 「良い製品を作れば売れる」「広告さえ打てば売れる」といった近視眼的な思考を防ぎ、ビジネス全体を俯瞰できます。
  • 施策の整合性を担保する: 「高級ブランドなのに安売りチラシを撒く」といった、ブランドイメージを損なう矛盾した施策を回避できます。
  • 競合との差別化を明確にする: 競合他社の4Pと比較することで、自社がどの要素で優位性を発揮すべきかが明確になります。

4P分析が役立つ場面

4P分析は、主に以下のような「意思決定」の局面で不可欠なツールとなります。

  • 新規事業・新商品開発: 商品企画段階から販路や価格をセットで設計し、市場投入の成功率を高めたい場合。
  • 既存事業の改善(テコ入れ): 売上が低迷している際、その原因が商品力にあるのか、価格設定にあるのか、認知不足にあるのかを特定する場合。
  • マーケティング戦略の見直し: ターゲット層を変更したり、ブランド・リポジショニングを行ったりする際の全体設計図として使用する場合。

4P分析は「企業側(売り手)の視点」で構成されていますが、他のフレームワークと組み合わせることで、より客観的で精度の高い戦略立案が可能になります。

フレームワーク視点主な役割4Pとの関係性
4P分析企業視点具体的な施策(How)の設計実行計画そのもの
4C分析顧客視点顧客価値の検証4Pが独りよがりでないかのチェック機能
3C分析俯瞰視点市場機会とKSFの特定4Pを設計するための前提条件

4C分析との違いと使い分け

4C分析は、4Pを「顧客視点」で再定義したものです。

  • Product → Customer Value(顧客価値)
  • Price → Cost(顧客が負担するコスト)
  • Place → Convenience(利便性)
  • Promotion → Communication(対話)
使い分けのポイント

まず企業視点の「4P」で施策案を出し、それが顧客にとって妥当かを「4C」で検証します。例えば、「Price(価格)」を決めた後、それが顧客にとって納得できる「Cost(対価)」になっているかを確認するプロセスが有効です。

3C分析との違いと組み合わせ方

3C分析(Customer, Competitor, Company)は、マーケティング戦略の環境分析に使われます。

組み合わせ方:

3C分析で「市場の機会」と「自社の強み」を特定し、STP分析(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)で「誰とどう戦うか」を決めた後に、それを実現する手段として4Pを設計します。3Cなどの環境分析なしにいきなり4Pを考えると、市場ニーズとズレた施策になりがちです。

サービス業で使う7P分析とは

形のないサービス業(飲食、宿泊、コンサルティング、SaaSなど)では、4Pに以下の3要素を加えた「7P」が用いられます。

  • People(人・要員): 接客スタッフや営業担当者のスキル、振る舞い。
  • Process(業務プロセス): サービスが提供される手順や仕組み。
  • Physical Evidence(物的証拠): 店舗の内装、Webサイトの品質、清潔感、制服など、サービスの質を可視化するもの。

BtoBで使われる「SAVE」とは

BtoBビジネスにおいては、4Pを現代的に解釈した「SAVE」というフレームワークも有効です。

  • Product → Solution(ソリューション):製品そのものではなく、課題解決策を売る。
  • Place → Access(アクセス):場所ではなく、いつでもアクセスできる環境。
  • Price → Value(バリュー):価格ではなく、投資対効果(ROI)。
  • Promotion → Education(教育):売り込みではなく、顧客への情報提供・育成。

4P分析は、以下の手順で進めることで、論理的かつ効果的な施策立案が可能になります。公的な支援機関のガイドラインでも、ターゲット設定の重要性が強調されています 。

事前準備:ターゲットと提供価値を整理する

いきなり「価格」や「広告」を議論し始めてはいけません。

まず、「誰の(Target)」「どんな課題を解決するのか(Value)」を明確にします。これが4Pすべての判断基準(軸)となります。

Product(製品・サービス)を決める

「ターゲットの課題を解決するために、どのような製品・サービスであるべきか」を定義します。

  • コア機能: 顧客のニーズを満たす最低限の機能。
  • 付帯機能: デザイン、使いやすさ、ブランドなど、競合と差別化する要素。
  • 品質・保証: アフターサービスや保証期間など、購入の不安を取り除く要素。

実務のポイント:検討順序は「Product」から

4Pは並列の関係ですが、実務上の検討順序は 「Product(提供価値)」が起点 です。

「何を売るか」が決まっていない状態で、「Price(価格)」や「Promotion(販促)」を決めることはできません。まずProductで「顧客への約束」を固め、それに見合った対価(Price)と提供方法(Place)を設計するのが鉄則です。

Price(価格)を決める

価格は利益に直結する重要な要素です。以下の3つの視点で検討します。

  1. コスト基準: 製造原価や販管費に利益を乗せる。
  2. 競合基準: 競合他社の価格を参考に、競争力のある価格にする。
  3. 価値基準: 顧客が感じる価値(Willingness to Pay)に基づいて設定する。

特にBtoBや高付加価値商材では、「安さ」よりも「費用対効果(Value)」を正当化できる価格設定が求められます。

Place(流通・販路)を決める

ターゲット顧客が製品を「いつ」「どこで」「どのように」買いたいかを考え、最適なチャネルを選定します。

  • チャネルの長さ: 直接販売か、卸売・代理店を挟むか。
  • チャネルの幅: 限定的な店舗で売るか(高級品など)、コンビニ含めどこでも買えるようにするか(日用品など)。
  • オンライン/オフライン: ECサイト、実店舗、あるいはその融合(オムニチャネル)。

Promotion(販促)を決める

最後に、ターゲットに製品の存在と価値を伝え、購入を促す方法を決めます。

  • メッセージ: ターゲットに刺さる訴求ポイント(キャッチコピー)。
  • 媒体(メディア): Web広告、SNS、展示会、DM、TVCMなど、ターゲットが日常的に接する媒体。
  • タイミング: 検討期間や季節性(シーズナリティ)に合わせた露出。

4Pで要素を洗い出しただけでは、絵に描いた餅になりかねません。具体的なアクションプランへの接続が必要です。

市場・顧客・自社の前提を把握する

市場調査レポートや公的統計(j-stat等)を活用し、客観的なデータに基づいて市場環境を把握します。自社の主観だけでなく、「市場が求めているもの」と「競合の動き」をファクトベースで整理します。

4Pと4Cを整合させて施策を決める

策定した4Pが、顧客視点の4Cと整合しているか最終チェックを行います。

  • Product vs Customer Value: 売りたい機能ではなく、顧客が欲しい価値になっているか?
  • Price vs Cost: 顧客が支払える、支払う価値があると感じるコストか?
  • Place vs Convenience: 顧客にとって買いやすい場所・方法か?
  • Promotion vs Communication: 一方的な押し付けではなく、顧客が納得する情報提供か?

4Pは単独でなく統合して考える

もっとも重要なのは 「整合性・一貫性」 です。

例えば、「最高品質の高級時計(Product)」を、「ディスカウントストア(Place)」で、「大幅値引き(Price)」して売った場合、ブランド価値は毀損され、ターゲット層(富裕層)は離れてしまいます。4つの要素がひとつのストーリーとして繋がっている必要があります。

顧客ニーズを満たす価値を起点にする

自社の事情(在庫を処分したい、工場の稼働率を上げたいなど)から4Pを考えると失敗します。常に「顧客ニーズ」を起点に、そこから逆算して各要素を組み立てることが成功の鍵です。

価格・販路・販促の一貫性が崩れる

各担当部署がバラバラに動くことで発生しやすい失敗です。商品開発部は「高機能」を目指し、営業部は「安売り」を提案し、広報は「高級感」を訴求する、といったチグハグな状態では顧客にメッセージが伝わりません。

訴求ポイントが多すぎて伝わらない

Promotionにおいて「あれもこれも」とアピールしすぎると、結局何が良いのかがボヤけます。ターゲットにとって最大のメリット(USP:Unique Selling Proposition)を一つに絞り込み、それを軸に他の要素を調整することが重要です。

ここではBtoC、BtoBそれぞれの典型的な成功パターンを、表形式で整理します。

BtoC商品の4P分析例:高品質な自然派化粧品

要素施策内容狙い(整合性)
Productオーガニック原料100%、シンプルで洗練されたパッケージ環境意識の高い層への価値提供
Price競合より2割高め、定期購入プランあり品質の高さを価格で証明、LTV向上
Place直営オンラインショップ、一部の高級セレクトショップブランドの世界観を維持、安売り防止
PromotionInstagramでのインフルエンサー投稿、サンプリング視覚的な世界観の共有と、使用感の体験

BtoBサービスの4P分析例:業務効率化SaaS(クラウドツール)

要素施策内容狙い(整合性)
Product直感的なUI、手厚い導入サポート、他社ツール連携現場担当者の「使いこなせるか」という不安解消
Price初期費用0円、月額課金(ID課金)、無料トライアル導入ハードルの低下(Cost削減)
Place直販Webサイトでの申し込み、代理店経由検索からの流入と、既存取引先からの紹介
Promotion課題解決型ウェビナー、導入事例ホワイトペーパー検討期間が長いため、教育(Education)を重視

項目例と記入のコツ

以下のような項目を表にまとめ、チームで共有しながら埋めていきます。

4P要素検討項目記入例(自社の場合)
Product特徴、品質、デザイン、保証業界初のAI自動化機能を搭載。24時間サポート付。
Price価格設定、支払条件、割引月額5万円。年払いで10%OFF。
Place販売ルート、エリア、在庫公式サイト直販のみ。オンラインで全国対応。
Promotion広告媒体、メッセージ、営業手法「残業ゼロ」を訴求。Web広告と共催セミナーを実施。

実務のポイント:価格設定(Price)の落とし穴 価格を検討する際、競合比較だけで「安くすれば売れる」と判断するのは危険です。 特に中小企業の戦略においては、価格競争に巻き込まれると利益確保が困難になります。「価格以外の要素(Productの独自性やPlaceの利便性)」で価値を高め、適正価格または高単価でも選ばれる設計を目指すことが、持続的な事業成長の要諦です 。

4P分析は、マーケティング戦略を机上の空論で終わらせず、現場で実行可能なアクションプランに変えるための強力なフレームワークです。

  • Product(製品): 顧客の課題を解決する価値
  • Price(価格): 価値に見合った対価
  • Place(流通): 顧客に届ける最適な経路
  • Promotion(販促): 価値を伝えるコミュニケーション

これら4つの要素を整合させ、ターゲット顧客に「欲しい」と思わせる仕組みを作ることがゴールです。まずはテンプレートを活用し、自社の現状を整理することから始めてみてください。

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