定量調査とは?進め方・種類・定性調査との使い分けを解説

定量調査とは?進め方・種類・定性調査との使い分けを解説

公開日 2026/02/10

最終更新日 2026/06/09

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定量調査とは、アンケート、販売データ、行動ログなどの数値化できるデータを使い、市場や顧客の傾向を把握する調査手法です。

たとえば、ブランド認知率、購入意向、満足度、利用率、広告接触後の態度変化などを数値で確認できます。「どのくらいの人が知っているか」「A案とB案ではどちらが選ばれやすいか」「年代や利用頻度によって傾向が違うか」を見たいときに使います。

一方で、定量調査は「なぜそう思ったのか」「どのような文脈で不満を感じたのか」といった深い理由の把握には向きません。その場合は、インタビューや観察調査などの定性調査と組み合わせます。

  • 定量調査の基本的な意味
    アンケートや行動データを使って、何を数値化できるのかを整理できます。

  • 定量調査と定性調査の違い
    目的、得られる情報、回答形式、サンプル数、使いどころの違いを理解できます。

  • 定量調査が向いているテーマ・向かないテーマ
    認知率、満足度、購入意向、広告効果測定など、数値で検証しやすいテーマを把握できます。

  • 定量調査の回答形式と主な手法
    シングルアンサー、マルチアンサー、スケール、数値入力、ネットリサーチ、会場調査、HUTなどを確認できます。

  • 定量調査の進め方と結果の読み取り方
    目的設定、設問設計、サンプル設計、集計、クロス集計、示唆出しまでの流れを確認できます。

定量調査とは、数値で集計・比較できるデータを収集し、対象者全体の傾向を把握する調査です。

代表的なのはアンケート調査です。選択式の質問や段階評価を使い、回答を割合、平均値、件数などに変換します。販売データやWebサイトの行動ログも、数値で扱えるため定量データとして分析できます。

データの例確認できること
アンケート回答認知率、満足度、購入意向、利用実態
販売データ売上、購入頻度、単価、リピート率
Web行動ログPV、クリック率、CVR、離脱率
アプリ行動データ起動回数、継続率、機能利用率
来店者データ来店数、購買率、時間帯別傾向

定量調査の役割は、感覚ではなく数字で傾向を確認することです。たとえば「若年層に人気がありそう」という仮説を、「20代の購入意向が他年代より高いか」という形で検証できます。

国際的なリサーチ領域では、ICC/ESOMARの国際コードが市場・社会・意見調査やデータ分析に関する倫理・透明性の原則を示しています。調査を行う際は、回答者保護、データの扱い、調査目的の明確化にも注意が必要です。

出典:ICC/ESOMAR「International Code on Market, Opinion and Social Research and Data Analytics」https://iccwbo.org/wp-content/uploads/sites/3/2016/12/ICC-ESOMAR-International-Code-on-Market-Opinion-Social-Research-and-Data-Analytics.pdf

※定量調査:数値化できるデータを集め、割合、平均値、件数などで傾向を把握する調査。

マーケティングでは、定量調査は「現状把握」と「仮説検証」に使います。

商品開発、広告、価格設定、ブランド管理、顧客満足度改善などでは、意思決定の前に「どの程度の規模で起きているのか」を確認する必要があります。定量調査は、その規模や傾向を把握するための手段です。

マーケティング課題定量調査で確認できること
市場理解市場規模、利用率、購入経験、認知率
商品開発コンセプト受容性、購入意向、価格許容度
広告・販促広告認知、ブランド想起、態度変容
Web改善CVR、クリック率、フォーム完了率、離脱率
顧客維持満足度、推奨意向、解約理由の傾向
営業戦略業種別・規模別のニーズ、導入障壁

定量調査は、4P分析やSTP分析の材料にもなります。たとえば、ターゲット候補ごとの購入意向を比較すれば、ターゲティングの判断材料になります。価格帯ごとの購入意向を見れば、Priceの検討に使えます。

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定量調査でできることは、大きく分けると「測定」「比較」「検証」です。

定量調査が向いているテーマ

定量調査は、割合や差分を見たいテーマに向いています。

テーマ調査で確認すること
ブランド認知どのくらいの人がブランドを知っているか
利用実態誰が、どの頻度で、どのように使っているか
満足度顧客がどの項目に満足・不満を感じているか
購入意向商品コンセプトや価格に対して購入したい人がどの程度いるか
広告評価広告接触後に認知、好意度、購入意向が変わったか
価格受容性どの価格帯まで受け入れられやすいか
セグメント比較年代、地域、業種、利用頻度別に傾向が違うか

定量調査は、「全体でどれくらいか」「どの層で高いか」「施策前後で変化したか」を知るのに使いやすい方法です。

定量調査が向かないテーマ

定量調査は、深い理由や未知の切り口を探すには向きません。

向かないテーマ理由
顧客の深層心理を探る選択肢にない理由を拾いにくい
新しいアイデアを発見する事前に質問や選択肢を設計する必要がある
複雑な意思決定プロセスを理解する会話や文脈の中で確認したほうがよい
行動の背景を細かく知る数字だけでは理由の解釈が難しい
未充足ニーズを探索するインタビューや観察のほうが仮説を作りやすい

たとえば、「満足度が低い顧客が30%いる」ことは定量調査で分かります。ただし、なぜ不満なのか、どの場面で不満が生まれたのかは、定性調査で深掘りするほうが適しています。

定量調査の活用事例イメージ

定量調査は、マーケティングのさまざまな場面で使えます。

活用場面調査テーマ使い方
商品開発新商品コンセプトの受容性複数案の購入意向や魅力度を比較する
広告評価広告接触後の態度変化認知、好意度、購入意向の変化を見る
ブランド管理ブランド認知・想起競合との認知率やイメージを比較する
顧客満足度改善満足・不満項目の把握改善優先度を決める
価格検討価格帯ごとの購入意向価格案の許容度を確認する
Web改善行動ログ分析離脱箇所やCVRの差を確認する

ここで示しているのは一般的な活用例です。実際の調査では、目的、対象者、設問、サンプル数、予算によって設計が変わります。

定量調査の特徴は、同じ設問と条件でデータを集めれば、回答を数値として比較しやすいことです。

代表的な特徴は次の通りです。

特徴内容
数値化できる割合、平均値、件数、スコアで表せる
比較しやすい年代別、地域別、利用頻度別などで差を見られる
経年比較しやすい同じ設問で定点観測できる
社内説明に使いやすい数字を根拠として議論できる
設計の影響を受けやすい質問文や選択肢の作り方で結果が変わる

注意したいのは、数字が出るからといって、常に正しい判断ができるわけではないことです。調査対象がずれている、質問が誘導的、選択肢が不足している、サンプル数が少ない場合は、数字があっても判断材料として弱くなります。

※サンプル:調査対象者のこと。調査では「n=400」のように人数を表すことが多い。

定量調査と定性調査は、どちらが上位という関係ではありません。知りたいことによって使い分けます。

得られる情報の違い

定量調査で得られるのは、数値で表せる情報です。

定性調査で得られるのは、発言、行動、表情、文脈などの情報です。

項目定量調査定性調査
得られる情報数値データ言語・行動・文脈データ
「購入意向が45%」「買いたい理由は、失敗しにくそうだから」
向いている問いどれくらいかなぜそう思うのか
主な出力グラフ、集計表、クロス表発言録、仮説、インサイト

調査目的の違い

定量調査は、仮説を検証する場面に向いています。

定性調査は、仮説を作る場面に向いています。

目的向いている調査
市場全体の傾向を知る定量調査
顧客の理由や背景を知る定性調査
複数案の優劣を比較する定量調査
新しいニーズを発見する定性調査
施策前後の変化を見る定量調査
購買プロセスを深掘りする定性調査

回答方法・サンプル数の違い

定量調査は、選択式や段階評価が中心です。定性調査は、自由回答や会話を通じて情報を深掘りします。

サンプル数も違います。定量調査では、傾向を見るために一定数の回答が必要です。定性調査では、少人数でも深い情報を得ることを重視します。

項目定量調査定性調査
回答形式選択式、段階評価、数値入力自由回答、対話、観察
サンプル数数十〜数千以上少人数
分析方法集計、クロス集計、統計分析発言・行動の解釈、構造化
注意点設問設計と対象者条件が重要モデレーションと解釈が重要

※モデレーション:インタビューやグループ調査で、進行役が質問や会話を調整すること。

定量調査と定性調査の比較表

定量調査と定性調査の違いをまとめると、次の通りです。

比較項目定量調査定性調査
主な目的測定・検証発見・理解
得意な問いどれくらいか、どちらが多いかなぜか、どのように感じたか
得られる情報数値、割合、平均値、スコア発言、行動、背景、文脈
主な手法Webアンケート、会場調査、HUT、郵送調査デプスインタビュー、グループインタビュー、観察調査
サンプル数多めに集める少人数で深く聞く
向いている場面仮説検証、効果測定、比較仮説づくり、理由の深掘り、アイデア探索
弱点理由や背景が見えにくい全体傾向を断定しにくい

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定量調査のメリット

定量調査には、次のメリットがあります。

メリット内容
全体傾向を把握できる市場や顧客層の傾向を数字で確認できる
比較できる属性別、案別、時点別に差を見られる
社内説明に使いやすい数字をもとに合意形成しやすい
経年変化を追える同じ指標で定点観測できる
施策効果を検証できる広告前後、改善前後の変化を見られる

数字で示せるため、上司や関係部署に説明しやすい点は大きなメリットです。

定量調査のデメリット・注意点

定量調査には、限界もあります。

デメリット注意点
理由が見えにくい数値の背景は定性調査で確認する
設問設計に左右される選択肢漏れや誘導質問を避ける
対象者がずれると使えないスクリーニング条件を明確にする
数字だけが独り歩きしやすい調査条件、サンプル数、設問文も確認する
コストがかかる場合がある自社調査、外部委託、既存データ購入を使い分ける

数字を見ると断定したくなりますが、調査対象、設問、回収方法、集計方法が変われば結果も変わります。結果を読むときは、調査設計まで確認します。

定量調査では、回答を集計しやすい形式で設問を作ります。

シングルアンサー(SA:単一回答)

シングルアンサーは、複数の選択肢から1つだけ選んでもらう形式です。

例:

Q. あなたが最もよく利用する購入チャネルを1つ選んでください。
1. 自社EC
2. ECモール
3. 実店舗
4. 代理店
5. その他

SAは、性別、居住地域、最も利用するブランド、主な購入チャネルなど、1つに絞って把握したい項目に向いています。

※SA:Single Answerの略。選択肢の中から1つだけ選ぶ回答形式。

マルチアンサー(MA:複数回答)

マルチアンサーは、当てはまる選択肢を複数選んでもらう形式です。

例:

Q. 商品購入時に重視する項目をすべて選んでください。
1. 価格
2. 品質
3. デザイン
4. 口コミ
5. サポート
6. 納期
7. ブランド

MAは、認知ブランド、購入理由、利用用途、重視項目などに使います。合計が100%を超えるため、構成比ではなく「回答者の何%が選んだか」として見ます。

※MA:Multiple Answerの略。複数の選択肢を選べる回答形式。

スケール(段階評価)

スケールは、満足度や好意度を段階で評価してもらう形式です。

例:

Q. この商品の使いやすさについて、あてはまるものを1つ選んでください。
1. とても使いにくい
2. やや使いにくい
3. どちらともいえない
4. やや使いやすい
5. とても使いやすい

5段階、7段階、10段階などが使われます。満足度、購入意向、推奨意向、使いやすさ、ブランド好意度などに向いています。

数値入力(自由記述数値)

数値入力は、金額、回数、期間などを直接入力してもらう形式です。

例:

Q. このサービスに月額いくらまでなら支払ってもよいと思いますか。
半角数字で入力してください。

数値入力は、支払意思額、利用頻度、来店回数、購入金額、使用年数などを聞くときに使えます。

ただし、極端な値が入ることがあります。入力範囲を指定したり、異常値をチェックしたりする必要があります。

※異常値:他の回答と比べて極端に大きい、または小さい値。入力ミスや特殊ケースが含まれることがある。

行動ログ・クリックなどの行動データ

定量データは、アンケート回答だけではありません。Webサイトやアプリの行動ログも定量データです。

行動データ確認できること
PV・セッションどのページが見られているか
クリック率どのボタンやリンクが押されているか
CVR問い合わせや購入につながった割合
離脱率どこで離脱しているか
滞在時間どのコンテンツが読まれているか
アプリ利用回数どの機能が使われているか

行動データは、実際の行動を見られる点が強みです。一方で、「なぜクリックしなかったのか」「なぜ離脱したのか」は数字だけでは分かりません。必要に応じて、アンケートやインタビューで背景を確認します。

定量調査には、複数の手法があります。目的、対象者、予算、スケジュールに合わせて選びます。

ネットリサーチ(Webアンケート)

ネットリサーチは、Web上でアンケートを配信・回収する手法です。

低コストで短期間に回答を集めやすく、マーケティングリサーチでよく使われます。商品コンセプト調査、ブランド認知調査、満足度調査などに向いています。

一方、インターネット利用が少ない層には届きにくい場合があります。調査パネルの属性や回収条件も確認します。

会場調査(CLT)

会場調査は、対象者を会場に集め、その場で商品、広告、パッケージなどを見てもらって評価する手法です。

未発表の商品や広告を外部に出したくない場合、実物を見せて評価したい場合に向いています。試食、試飲、使用感評価などでも使われます。

費用と運営工数はかかりやすいため、実査体制を確認します。

※CLT:Central Location Testの略。対象者を会場に集めて行う調査。

ホームユーステスト(HUT)

ホームユーステストは、対象者の自宅で商品を一定期間使ってもらい、その後に評価してもらう手法です。

日用品、食品、化粧品、家電など、日常生活の中で使って初めて分かる商品に向いています。継続利用後の満足度や不満点も確認できます。

商品発送、使用期間、回収管理が必要になるため、スケジュールに余裕を持って設計します。

※HUT:Home Use Testの略。商品を自宅で使ってもらい、使用後に評価を集める調査。

郵送調査

郵送調査は、紙の調査票を郵送し、回答後に返送してもらう手法です。

インターネットを使わない層にアプローチしたい場合や、行政・地域調査などで使われます。紙で回答してもらえるため、高齢者層や特定地域の調査に向くことがあります。

回収に時間がかかり、回答率の管理も必要です。

街頭調査

街頭調査は、特定の場所で通行人に声をかけ、短時間で回答してもらう手法です。

店舗周辺、駅前、イベント会場など、特定地点にいる人の反応を確認できます。来街者の属性やその場の反応を見たい場合に使えます。

天候、時間帯、調査員の声かけ方法によって結果が影響を受けることがあります。

来店者(来場者)調査

来店者調査は、店舗やイベントに来た人を対象に行う調査です。

購入直後、体験直後の評価を取れるため、店舗改善、イベント改善、顧客体験の把握に使いやすいです。QRコード、紙のアンケート、タブレット入力などで実施できます。

ただし、来店者だけが対象になるため、市場全体の代表性は限定されます。

電話調査

電話調査は、調査員が電話で質問し、回答を記録する手法です。

質問の意味を補足しながら聞ける点が特徴です。社会調査や選挙関連調査などで使われることがあります。

一方で、電話に出る人の偏りや、若年層への接触の難しさに注意が必要です。

手法ごとの向き・不向きと選び方のポイント

手法を選ぶときは、調査目的、対象者、予算、納期、見せたい刺激物の有無を確認します。

手法向いている場面注意点
ネットリサーチ短期間で多くの回答を集めたいネット利用者に偏る可能性
会場調査実物や広告を見せて評価したい会場運営の費用と工数
HUT日常利用後の評価を取りたい商品発送と使用期間が必要
郵送調査ネット非利用層や地域調査回収に時間がかかる
街頭調査特定地点の反応を知りたい場所・時間・天候の影響
来店者調査体験直後の評価を知りたい来店者に対象が限られる
電話調査説明しながら聞きたい接触率と対象者の偏り

予算が限られる場合は、まず自社データや既存調査を確認します。不足する論点だけを新規調査で補うと、費用を抑えやすくなります。

定量データは、自社で集める方法、調査会社に依頼する方法、既存データを購入する方法があります。

自社で調査を行う

自社の顧客リスト、Webサイト、SNS、メールマガジン、アプリ通知などを使って調査を行います。

コストを抑えやすく、既存顧客の声を素早く集められます。一方、回答者は自社と接点がある人に偏ります。市場全体の代表値として扱うには注意が必要です。

向いている場面は、既存顧客の満足度、サービス改善、解約理由、Webサイト改善などです。

調査会社に依頼する

調査会社に依頼すると、調査票設計、対象者抽出、実査、集計、分析まで支援を受けられます。

市場全体の傾向を見たい場合や、自社顧客以外に聞きたい場合に向いています。調査パネルを使えば、性別、年代、地域、業種、役職などの条件で対象者を集めやすくなります。

費用はかかりますが、設計品質や回収品質を担保しやすい点がメリットです。

調査データを購入する

既存の市場調査レポートや統計データを購入・利用する方法もあります。

新たにアンケートを実施しなくても、市場規模、成長率、主要企業、地域別動向、セグメント別データを確認できる場合があります。

海外市場やニッチ市場では、自社だけで十分なサンプルを集めるのが難しいことがあります。その場合、市場調査レポートを使うと、短期間で市場の全体像を把握しやすくなります。

予算・リソース別の選び方

状況向いている方法
予算が少ない自社アンケート、既存データ、公的統計
すぐに市場の全体像が必要既存の市場調査レポート
自社顧客以外の声が必要調査会社への依頼
商品を実際に使って評価してほしい会場調査、HUT
定期的に指標を追いたい同一設問の定点調査
海外・ニッチ市場を知りたい市場調査レポート、専門家調査、追加アンケート

国内の基礎データは、e-Statで確認できます。e-Statは、各府省等が公表する統計データをまとめた政府統計ポータルサイトです。

出典:総務省統計局・統計センター「政府統計の総合窓口(e-Stat)」https://www.e-stat.go.jp/

定量調査は、次の6ステップで進めます。

  1. 目的・仮説の設定
  2. 設問設計と選択肢設計
  3. サンプル設計
  4. 実査
  5. 集計・分析
  6. 結果の解釈と示唆出し

1. 目的・仮説の設定

最初に決めるのは、「何を知りたいか」ではなく「そのデータで何を判断するか」です。

例:

判断したいこと調査で確認すること
新商品の発売可否購入意向、想定価格、利用シーン
広告案の選定認知、理解、好意度、購入意向
価格改定価格受容性、競合比較、離反可能性
顧客満足度改善不満項目、重要度、継続意向
ターゲット選定属性別・課題別のニーズ差

目的が曖昧だと、設問が増えすぎます。調査前に、意思決定に使う指標を決めます。

2. 設問設計と選択肢設計

設問設計では、回答者が迷わず答えられる質問を作ります。

総務省統計局は、調査票作成において、結果表をイメージしながら調査項目を検討すること、あいまいな言葉を避けること、回答を誘導しないことなどを示しています。

出典:総務省統計局「調査票の作成」https://www.stat.go.jp/naruhodo/12_ppdac/plan/plan2.html

避けたい例と改善例は次の通りです。

避けたい設問改善例
この便利な商品を使いたいですかこの商品を使いたいと思いますか
最近、利用しましたか直近1か月以内に利用しましたか
価格や品質に満足していますか価格への満足度、品質への満足度を別々に聞く
当社サービスは優れていると思いますか競合サービスと比べた評価を5段階で聞く

質問文、選択肢、質問順が結果に影響します。調査票ができたら、第三者にテスト回答してもらい、意図が伝わるか確認します。

3. サンプル設計(対象・人数・抽出方法)

サンプル設計では、誰に、何人、どの方法で聞くかを決めます。

項目確認すること
対象者性別、年代、地域、業種、利用経験など
除外条件関係者、競合勤務者、条件に合わない回答者
サンプル数全体分析に必要な人数、属性別分析に必要な人数
抽出方法自社リスト、調査パネル、来店者、Web訪問者など
スクリーニング対象条件に合う人だけを抽出する質問

サンプル数は、多ければ必ずよいわけではありません。全体傾向を見るのか、年代別や利用頻度別に比較するのかによって必要な人数は変わります。

統計的な精度を考える場合は、標本誤差や信頼区間の考え方も確認します。たとえば、割合の推定では、サンプル数が増えるほど標本誤差は小さくなります。ただし、対象者の偏りはサンプル数を増やしても解消されません。

※標本誤差:母集団全体ではなく一部のサンプルを調べることで生じる誤差。

4. 実査(回収・品質チェック)

実査では、アンケート配信、回答回収、品質確認を行います。

確認する項目は次の通りです。

  • 回収数が目標に達しているか
  • 対象条件に合わない回答が混ざっていないか
  • 極端に短時間で回答していないか
  • すべて同じ選択肢を選んでいないか
  • 自由記述に不自然な回答がないか
  • 重複回答がないか

品質の低い回答をそのまま使うと、集計結果が歪みます。実査後にはデータクリーニングを行います。

※データクリーニング:不自然な回答、重複、対象外回答などを確認し、分析に使うデータを整える作業。

5. 集計・分析(単純集計/クロス集計)

集計では、まず単純集計で全体傾向を確認します。その後、必要に応じてクロス集計を行います。

集計方法内容
単純集計各設問の全体回答を確認する
クロス集計年代、性別、地域、利用頻度などで回答を比較する
平均値比較満足度や購入意向の平均を比較する
時系列比較前回調査や施策前後と比較する

クロス集計では、細かく分けすぎると各セルの人数が少なくなります。人数が少ない結果は、参考値として扱います。

※クロス集計:属性や利用状況などの切り口別に回答傾向を比較する集計方法。

6. 結果の解釈と示唆出し

集計結果は、数字を並べるだけでは不十分です。目的に対して、どの結果が意思決定に関係するのかを読み取ります。

結果を見るときは、次の点を確認します。

観点確認すること
調査目的との関係その数字は何の判断に使うのか
差の大きさ施策判断に使える差か
サンプル数比較対象の人数は十分か
設問文質問が誘導的ではないか
対象者条件本当に知りたい顧客層に聞けているか
外れ値極端な回答が影響していないか
追加調査理由を深掘りする必要があるか

「20代の購入意向が高い」と書く前に、20代の回答数が十分か、他年代との差が大きいか、質問文が同じ条件で提示されているかを確認します。

調査結果から示唆を出すときは、次のように分けると整理しやすくなります。

項目書き方
事実20代の購入意向は45%、40代は28%だった
解釈若年層のほうがコンセプトへの反応が高い可能性がある
施策示唆初期ターゲットは20〜30代に絞り、訴求を検証する
追加確認購入理由を定性調査で確認する

定量調査と定性調査は、マーケティング課題に応じて使い分けます。

マーケ課題から見た使い分けの考え方

課題向いている調査理由
市場規模や認知率を知りたい定量調査数値で把握する必要がある
顧客がなぜ買わないか知りたい定性調査理由や文脈の深掘りが必要
広告案の反応を比較したい定量調査案ごとのスコアを比較できる
新商品のアイデアを探したい定性調査未知のニーズを発見しやすい
満足度が低い理由を知りたい定量+定性まず低い層を特定し、理由を深掘りする
価格設定を検討したい定量調査価格帯ごとの受容性を比較できる
購買プロセスを理解したい定性調査検討過程や社内事情を聞きやすい

「仮説がない段階」では定性調査、「仮説を検証する段階」では定量調査が使いやすいです。

よくある誤った使い方

よくある誤りは、知りたいことと調査手法がずれているケースです。

誤った使い方起こる問題修正案
理由を知りたいのに選択式アンケートだけを行う選択肢にない理由を拾えない先にインタビューで仮説を作る
仮説がないのに大規模アンケートを行う設問が広がり、示唆が薄くなる少人数の定性調査から始める
数字が少ない属性別結果を断定する偶然の差を過大解釈するサンプル数を確認し参考値にする
自社顧客だけで市場全体を語る対象者が偏る外部パネルや既存データを併用する
調査会社のレポートをそのまま使う自社の意思決定に接続しない目的、仮説、判断基準を先に決める

定量調査と定性調査は、組み合わせると強みを補い合えます。

定量調査で構造把握→定性調査で深掘り

最初に定量調査で全体傾向を把握し、その後に定性調査で理由を掘り下げる方法です。

例:

  1. アンケートで満足度が低い顧客層を特定する
  2. その顧客層にインタビューを行う
  3. 不満の背景や具体的な利用シーンを確認する
  4. 改善施策を作る

満足度調査や解約理由調査では、この流れが使いやすいです。

定性調査で仮説抽出→定量調査で仮説検証

最初に定性調査で仮説を作り、その後に定量調査で規模を確認する方法です。

例:

  1. インタビューで購入理由や不満を聞く
  2. 重要な仮説を整理する
  3. アンケートの選択肢に反映する
  4. 市場全体でどの程度の人に当てはまるかを確認する

新商品開発やターゲット探索では、この流れが向いています。

案件別の組み合わせパターン例

案件組み合わせ方
新商品開発定性調査でニーズ探索 → 定量調査で購入意向を検証
広告改善定量調査で広告案を比較 → 定性調査で理由を深掘り
顧客満足度改善定量調査で不満層を特定 → 定性調査で原因を確認
価格改定定量調査で価格受容性を確認 → 定性調査で高い・安い理由を確認
海外市場調査市場調査レポートで全体像把握 → インタビューで現地事情を確認

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定量調査は、数値化できるデータを使って、市場や顧客の傾向を把握する調査です。認知率、購入意向、満足度、利用率、広告効果、価格受容性などを確認できます。

定量調査の強みは、全体傾向を数値で把握し、比較や検証ができることです。一方で、理由や背景の深掘りには向きません。顧客の心理や文脈を理解したい場合は、定性調査を組み合わせます。

実務では、まず調査目的と仮説を決めます。そのうえで、設問、選択肢、対象者、サンプル数、集計方法を設計します。結果を読むときは、数字だけで判断せず、設問文、対象者条件、サンプル数、調査時点を確認します。

海外市場やニッチ市場では、自社だけで十分なデータを集めるのが難しい場合があります。その場合は、公的統計、市場調査レポート、専門家調査、定性調査を組み合わせ、必要な情報を段階的に補いましょう。

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