STP分析とは?目的・やり方・事例をわかりやすく解説

STP分析とは?目的・やり方・事例をわかりやすく解説

公開日 2026/02/17

最終更新日 2026/06/09

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STP分析とは、市場を分け、狙う顧客を選び、競合と比較されたときの自社の立ち位置を決めるためのマーケティングフレームワークです。

新規事業、商品開発、既存商品の見直し、海外展開、営業戦略の再設計などでは、「誰に、どの価値を、どのように届けるか」を明確にする必要があります。STP分析は、その前提を整理するために使います。

STPは、Segmentation、Targeting、Positioningの頭文字です。市場をいくつかのグループに分け、自社が狙う市場を選び、その市場で選ばれる理由を定義します。

STP分析は、マーケティング戦略を考えるときの基本的な流れです。

すべての顧客に同じ商品やメッセージを届けようとすると、施策が広がりすぎます。広告、営業、商品開発、価格設定、販路設計の焦点もぼやけます。

STP分析では、市場全体をそのまま見るのではなく、顧客の属性、課題、行動、購買基準などで分けます。そのうえで、自社が狙うべき市場を選び、競合との違いを明確にします。

STP分析の目的

STP分析の目的は、限られた経営資源を、成果につながりやすい市場や顧客に集中させることです。

事業では、予算、人員、時間、販売チャネル、開発リソースに制約があります。すべての顧客層に対応しようとすると、商品も訴求も中途半端になりやすくなります。

STP分析を行うと、次の問いを整理できます。

  • どの顧客グループが存在するか
  • どの市場に十分な規模や成長性があるか
  • 自社の強みが活きる顧客はどこか
  • 競合と比べてどの軸で差別化できるか
  • そのターゲットに対して、どの4P施策を取るか

STP分析は、単なる分類作業ではありません。マーケティング施策や事業判断の前提を決める作業です。

STP分析がマーケティング戦略で重要とされる理由

STP分析が重要なのは、顧客と競合を見たうえで「選ぶ市場」と「捨てる市場」を決められるからです。

市場規模が大きくても、競合が強く、自社の強みが活きない市場では成果を出しにくくなります。逆に市場規模が中程度でも、顧客課題が明確で、自社の強みが刺さる市場なら、戦いやすい場合があります。

マーケティング戦略では、STPで方向性を決め、その後に4P分析で商品、価格、流通、販促を具体化します。STPが曖昧なまま4Pを決めると、誰に向けた商品なのか、どの価値を訴求するのかがぶれます。

出典:Philip Kotler and Kevin Lane Keller, Marketing Management, 15th edition, Pearson, 2016.

STP分析の3つの要素

STP分析は、次の3つの要素で構成されます。

要素内容主な問い
Segmentation市場を細分化する市場にはどのような顧客グループがあるか
Targeting狙う市場を選ぶ自社が優先すべき顧客グループはどこか
Positioning立ち位置を決める競合と比べて、何で選ばれるか

3つは独立した作業ではありません。セグメンテーションで分けた市場を、ターゲティングで選び、ポジショニングで選ばれる理由に変えていきます。

※セグメント:市場や顧客を、属性、課題、行動、購買基準などの共通点で分けた単位。

STP分析を行うと、市場全体を一つのかたまりではなく、複数の顧客グループとして見られるようになります。

市場の顧客ニーズの分布

セグメンテーションを行うと、顧客ニーズの違いが見えます。

たとえば、同じ業務効率化ツールでも、ある企業は「コスト削減」を重視し、別の企業は「属人化の解消」を重視します。さらに別の企業は「既存システムとの連携」や「セキュリティ」を重視するかもしれません。

年齢、地域、業種、企業規模だけでなく、課題、利用シーン、購買基準、導入状況まで見ると、施策に使いやすいセグメントが見えてきます。

狙うべきターゲットとアプローチ方針

ターゲティングでは、自社が優先すべき市場を選びます。

選ぶ基準は、市場規模だけではありません。成長性、競合状況、自社の強みとの相性、アプローチ可能性、収益性を見ます。

たとえば、広告で広く獲得できる市場なのか。営業で深く提案すべき市場なのか。代理店やパートナーが必要な市場なのか。ターゲットが決まると、アプローチ方針も決めやすくなります。

競合との差別化ポイントと自社の立ち位置

ポジショニングでは、ターゲット顧客から見て、自社がどのように認識されたいかを決めます。

価格で選ばれるのか、品質で選ばれるのか、導入支援で選ばれるのか、専門性で選ばれるのか。顧客が比較する軸を見極め、その中で自社が取りに行く立ち位置を定義します。

ポジショニングは、自社が言いたいことではなく、顧客が比較検討するときに意味のある違いである必要があります。

STP分析のメリットは、マーケティング施策の前提を整理できることです。

顧客ニーズを把握できる

市場を細分化すると、顧客ごとの課題や購買基準の違いを把握しやすくなります。

「中小企業向け」といった大きな分類だけでは、具体的な施策に落としにくいです。「従業員50〜300名で、紙やExcelによる管理が残っており、月次業務の負荷が高い企業」のように整理すると、提案内容や訴求が具体化します。

自社の強みが明確になる

STP分析では、自社の強みを顧客視点で見直します。

たとえば、自社では「技術力」が強みだと考えていても、ターゲット顧客にとっては「短納期で対応できること」や「導入後のサポートが手厚いこと」のほうが価値になる場合があります。

強みは、顧客が評価して初めて差別化要素になります。

競合との差別化ができる

STP分析を行うと、競合と同じ土俵で戦わない選択肢を考えやすくなります。

大手競合が幅広い市場を狙っている場合でも、特定の業界、用途、地域、顧客課題に絞ることで、独自のポジションを作れる場合があります。

差別化は、単に「他社と違うこと」ではありません。ターゲット顧客にとって意味がある違いを作ることです。

戦略の方向性が定まる

STP分析でターゲットと立ち位置が決まると、商品開発、価格設定、営業、広告、コンテンツ制作の方向性をそろえやすくなります。

領域STPが決まると整理しやすいこと
商品開発どの機能やサポートを優先するか
価格設定どの価格帯・プランを用意するか
営業どの顧客層へ重点的に提案するか
広告・SEOどの課題・キーワード・訴求を使うか
コンテンツどの比較情報や導入事例を用意するか

STP分析は、部門ごとの施策を同じ方向に向けるための共通言語になります。

STP分析は、基本的には次の順番で進めます。

  1. セグメンテーション:市場を分ける
  2. ターゲティング:狙う市場を選ぶ
  3. ポジショニング:競合の中での立ち位置を決める

ただし、実務では一方向に進むとは限りません。ポジショニングを考えた結果、ターゲットを見直すこともあります。ターゲットを選んだあとに、市場規模や競合状況を見て、セグメンテーションの切り方を変えることもあります。

重要なのは、S、T、Pがつながっていることです。

ステップ成果物
セグメンテーション顧客グループ一覧、切り口、各セグメントの特徴
ターゲティング優先ターゲット、選定理由、除外した市場
ポジショニング比較軸、競合との位置関係、選ばれる理由

ここでは、実務で使いやすい粒度でSTP分析の進め方を整理します。

1. セグメンテーション(市場を細分化する)

セグメンテーションとは、市場を共通の特徴を持つ顧客グループに分けることです。

分け方が粗すぎると、ターゲットが見えません。細かすぎると、市場規模が小さくなりすぎ、施策が複雑になります。

セグメンテーションの切り口の例

代表的な切り口は、地理的変数、人口動態変数、心理的変数、行動変数です。

切り口内容BtoCの例BtoBの例
地理的変数地域、気候、都市規模首都圏、地方都市、寒冷地対象国、地域、商圏、物流条件
人口動態変数年齢、性別、所得、家族構成20代単身、子育て世帯業種、従業員規模、売上規模
心理的変数価値観、ライフスタイル、購買動機価格重視、品質重視、環境配慮変革志向、リスク回避、品質重視
行動変数購入頻度、利用状況、導入段階リピート頻度、利用シーン導入済み/未導入、課題の緊急度、決裁フロー

BtoBでは、業種や企業規模だけで切ると、ニーズの違いが見えにくいことがあります。課題の緊急度、既存システムへの不満、購買プロセス、決裁者の関与度なども見ます。

※行動変数:顧客の利用状況、購入頻度、検討段階、課題の緊急度など、実際の行動や状態にもとづく分類軸。

セグメンテーションの評価のポイント

セグメントを分けたら、事業として狙う意味があるかを評価します。

評価項目確認すること
測定可能性顧客数、市場規模、売上規模などを把握できるか
到達可能性広告、営業、代理店、展示会などで接点を持てるか
十分な規模事業として成立する規模があるか
差別化可能性他セグメントとニーズや購買基準が違うか
実行可能性自社のリソースで対応できるか

市場規模を確認する場合は、国内市場ならe-Statで人口、産業、商業、労働などの政府統計を確認できます。海外市場や国別の制度・市場情報を調べる場合は、JETROの調査レポートも候補になります。

出典:総務省統計局・統計センター「政府統計の総合窓口(e-Stat)」https://www.e-stat.go.jp/
出典:日本貿易振興機構(JETRO)「調査レポート」https://www.jetro.go.jp/world/reports/

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2. ターゲティング(狙う市場を選ぶ)

ターゲティングとは、分けたセグメントの中から、自社が優先する市場を選ぶことです。

すべてのセグメントを同じ深さで狙う必要はありません。特にリソースが限られる場合は、自社の強みが活きる市場に絞るほうが進めやすくなります。

ターゲティングの選定基準

ターゲットを選ぶときは、市場魅力度と自社適合度の両方を見ます。

観点確認すること
市場規模十分な顧客数や売上余地があるか
成長性今後伸びる可能性があるか
収益性適切な価格や利益率を確保できるか
競合状況競合が強すぎないか、差別化余地があるか
顧客課題の強さ解決ニーズが明確か、優先度が高いか
到達可能性広告、営業、紹介、代理店などで接点を作れるか
自社適合度自社の強み、チャネル、実績、リソースと合うか

これらの観点を使い、候補セグメントを比較します。点数化してもよいですが、数字だけで決めないようにします。なぜその点数にしたのか、根拠も書きます。

ターゲットの解像度を高める方法

ターゲットを選んだら、顧客像を具体化します。

項目確認すること
顧客属性業種、規模、地域、役職、部門
課題何に困っているか、なぜ今困っているか
現在の対応既存サービス、Excel、内製、外注など
購買基準価格、機能、品質、実績、サポート、納期
導入障壁予算、稟議、既存契約、社内調整、リスク
情報収集検索、展示会、紹介、専門メディア、営業接点
意思決定者利用者、管理者、決裁者、購買部門

顧客インタビューやアンケートを行う場合は、質問票を作る前に、見たい集計表や検証したい仮説を決めます。総務省統計局は、調査票作成では調査項目を作る前に集計表をイメージすることや、あいまいな言葉を避けることを示しています。

出典:総務省統計局「調査票の作成」https://www.stat.go.jp/naruhodo/12_ppdac/plan/plan2.html

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3. ポジショニング(立ち位置を決める)

ポジショニングとは、ターゲット顧客から見た自社の立ち位置を決めることです。

ここで重要なのは、顧客が比較する軸を選ぶことです。自社がアピールしたい軸ではなく、顧客が購入時に重視する軸で考えます。

ポジショニングマップの作り方

ポジショニングマップは、2つの軸で自社と競合の位置を整理する方法です。

作成手順は次の通りです。

  1. ターゲット顧客が比較する競合や代替手段を挙げる
  2. 顧客が重視する比較軸を洗い出す
  3. その中から、購買判断に影響する2軸を選ぶ
  4. 自社と競合をマッピングする
  5. 空白領域ではなく、顧客ニーズと自社の強みが重なる場所を探す

軸の例は次の通りです。

商材軸の例
BtoB SaaS導入支援の手厚さ × 機能の専門性
産業部材品質安定性 × 供給スピード
消費財価格帯 × デザイン性
教育サービス学習サポート × 実践性
市場調査レポート専門領域の深さ × 入手・相談のしやすさ

ポジショニングマップでは、自社に都合のよい軸だけを選ばないことが大切です。顧客が気にしていない軸で違いを作っても、購買理由にはなりにくいです。

※ポジショニングマップ:顧客が重視する2つの比較軸を使って、自社と競合の立ち位置を可視化する図。

ポジショニングから4P施策につなげる方法

ポジショニングが決まったら、4Pに落とし込みます。

たとえば、「専門性が高く、導入支援が手厚い」というポジションを取るなら、4Pは次のようになります。

4P施策例
Product専門領域向け機能、導入支援、サポートを組み込む
Price低価格ではなく、支援内容を含めた価格設計にする
PlaceWeb問い合わせ、専門営業、パートナー経由で提供する
Promotion導入事例、比較資料、課題解決型コンテンツで訴求する

STP分析は、4Pに接続して初めて施策になります。ターゲットとポジションを決めたら、商品、価格、流通、販促を一貫させます。

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STP分析の成果物イメージ(アウトプット例)

STP分析の成果物は、次のような形で整理できます。

項目記入例
対象市場国内の中堅製造業向け業務効率化ツール市場
セグメント紙・Excel管理が残る企業、既存システムに不満がある企業、短期導入を求める企業
優先ターゲット従業員100〜500名で、月次業務の属人化に課題がある製造業
選定理由課題が明確で、導入支援へのニーズがあり、自社のサポート体制を活かせる
ポジション低価格ツールではなく、導入定着まで支援する業務効率化ツール
4Pへの接続導入支援付きプラン、事例コンテンツ、無料相談、業界別LP

これは架空の記入例です。実務では、顧客調査、営業データ、市場データ、競合調査をもとに検証します。

STP分析は、新規事業の立ち上げ時だけでなく、既存施策の見直しでも使えます。

新規事業・新商品の立ち上げ時

新規事業や新商品では、最初にSTP分析を行います。

市場を広く捉えすぎると、商品設計も販促もぼやけます。開発前や初期検証の段階で、どの顧客のどの課題に向き合うのかを決めると、不要な機能開発や広告出稿を減らしやすくなります。

既存施策の伸び悩み・リブランディング時

広告の反応が落ちている、問い合わせはあるが商談につながらない、競合に比較負けしている。こうした状況では、ターゲットやポジションが市場変化とずれている可能性があります。

既存商品の見直しでは、現在の顧客層、失注理由、競合の訴求、購入チャネルを確認し、STPを再定義します。

定期見直し(市場変化・競合変化がある時)

市場や競合は変化します。新しい競合の参入、技術変化、法規制、顧客行動の変化があれば、STPも見直します。

特に海外市場やニッチ市場では、市場規模、競合、規制、流通が変わると、狙うべき顧客やポジションも変わります。

STP分析を実施すべきか判断するチェックポイント

次の項目に当てはまる場合は、STP分析を見直すタイミングです。

  • 誰に向けた商品・サービスか社内で説明が割れる
  • 広告や営業の訴求が複数あり、焦点が定まらない
  • 競合との違いを一言で説明できない
  • ターゲットはいるが、市場規模や成長性を確認していない
  • 顧客の課題や購買基準が古い情報のままになっている
  • 4P施策がターゲットと合っていない
  • 新規参入や代替サービスの影響が出ている

STP分析は便利ですが、使い方を誤ると机上の整理で終わります。

STPだけで判断しない

STP分析だけで戦略を決めるのは危険です。

市場規模、競合環境、外部環境、自社のリソースを確認する必要があります。たとえば、魅力的なターゲットが見つかっても、必要な技術や販売チャネルが自社にない場合は、すぐに参入できません。

3C分析、SWOT分析、PEST分析、5フォース分析などと組み合わせて判断します。

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市場規模・成長率を確認する

ターゲットを絞ることは大切ですが、絞りすぎると市場が小さくなりすぎます。

新規事業や海外展開では、TAM、SAM、SOMのように市場規模を段階的に整理します。対象国、製品カテゴリ、用途、価格帯の定義が違えば、市場規模も変わります。

※TAM/SAM/SOM:TAMは理論上の最大市場、SAMは自社が対象にできる市場、SOMは現実的に獲得を目指す市場。

分析の順番にこだわりすぎない

STP分析は、S→T→Pの順番が基本です。ただし、実務では行き来しながら調整します。

たとえば、自社が取りたいポジションから逆算し、その価値を評価する顧客を探すこともあります。ターゲットを選んだ後に、実際の顧客ニーズが異なると分かれば、セグメントの切り方を見直します。

順番よりも、顧客、競合、自社、4P施策の整合性を取ることが大切です。

データにもとづいて客観視する

STP分析では、希望的観測でターゲットを決めないようにします。

「この市場は伸びそう」「この顧客は買ってくれそう」と考えるだけでは不十分です。公的統計、市場調査レポート、顧客インタビュー、アンケート、営業データ、検索データなどを使い、根拠を確認します。

目的使える情報
市場規模を見る公的統計、業界資料、市場調査レポート
顧客課題を見るインタビュー、アンケート、問い合わせ、商談メモ
競合を見る競合サイト、IR、価格表、導入事例
到達可能性を見る検索ボリューム、広告配信条件、展示会、代理店網
施策効果を見るCVR、商談化率、受注率、解約率

理想のターゲットを追いすぎない

理想的な顧客像を作ること自体は有効です。ただし、実在しない顧客や、競合がすでに強く押さえている顧客を狙っても成果につながりにくくなります。

ターゲットは、魅力的であることに加えて、実際に到達できること、自社の価値を評価してくれること、収益化できることが必要です。

STP分析で陥りやすい失敗パターン

よくある失敗は次の通りです。

失敗パターン起こる問題対策
属性だけでセグメントを切るニーズの違いが見えない課題、行動、購買基準も見る
市場規模だけでターゲットを選ぶ競争が強く勝ちにくい自社適合度と競合状況も見る
自社に都合のよい軸でポジショニングする顧客に伝わらない顧客の比較軸を確認する
STPと4Pがつながっていない施策がターゲットとずれるポジションから4Pに落とす
一度作って見直さない市場変化に遅れる定期的に更新する

BtoBとBtoCでのSTP分析の違いに注意する

BtoBとBtoCでは、見るべき切り口が違います。

観点BtoCBtoB
セグメント年齢、性別、ライフスタイル、購買行動業種、企業規模、課題、導入状況、決裁プロセス
ターゲット個人の価値観や利用シーン利用者、管理者、決裁者、購買部門
ポジション価格、品質、ブランド、体験課題解決、ROI、導入支援、信頼性、リスク低減
施策広告、SNS、EC、店舗営業、ウェビナー、資料請求、展示会、導入事例

BtoBでは、購買に複数人が関わります。利用者だけを見てターゲットを設定すると、決裁者が重視する費用対効果やリスク説明が不足することがあります。

STP分析は、他のフレームワークと組み合わせることで実務に落とし込みやすくなります。

4P(マーケティングミックス)とSTPの関係

4P分析は、STPで決めたターゲットとポジションを施策に落とすために使います。

STPで決めること4Pで決めること
誰を狙うかその顧客に合う商品やサービス内容
何で選ばれるか価格、販路、販促の具体策
どの競合と違うか訴求、販売チャネル、サポート内容

STPが戦略の骨格で、4Pが実行施策です。

3C分析とSTPの関係

3C分析は、顧客、競合、自社を整理するために使います。

3C分析で市場の全体像を把握し、STP分析で狙う顧客と立ち位置を決める流れが使いやすいです。

PEST分析とSTPの関係

PEST分析は、政治、経済、社会、技術といった外部環境を見るフレームワークです。

規制変更、人口動態、技術変化、為替、政策などは、狙う市場やポジションに影響します。海外市場や規制産業では、STP分析の前にPEST分析で前提を確認します。

カスタマージャーニーとSTPの関係

カスタマージャーニーは、顧客が認知、比較、購入、利用、継続に至るまでの流れを整理する方法です。

STP分析でターゲットを決めたあと、その顧客がどのように情報収集し、どこで比較し、何を不安に感じるかをカスタマージャーニーで整理します。

※カスタマージャーニー:顧客が商品・サービスを認知し、比較し、購入・利用するまでの流れ。

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ここでは、実在企業の成果を示すものではなく、STP分析の考え方を理解するための架空ケースを紹介します。

BtoB SaaSの架空ケース

業務報告を効率化するSaaSを展開する企業を想定します。

項目内容
セグメンテーション企業規模、業種、報告業務の頻度、既存ツール、決裁プロセスで分類
ターゲティング従業員100〜500名で、Excel報告が残り、月次集計に時間がかかる企業
ポジショニング多機能ツールではなく、現場が使いやすく、導入支援が手厚い業務報告ツール
4Pへの接続初期設定支援、導入事例、無料相談、月額プラン、業界別LP

このケースでは、企業規模だけでターゲットを決めていません。報告業務の負担、既存ツールへの不満、導入支援ニーズまで見ています。

医療機器メーカーの架空ケース

海外市場へ新規参入する医療機器メーカーを想定します。

項目内容
セグメンテーション国・地域、医療機関規模、診療科、規制要件、既存機器の導入状況で分類
ターゲティング規制対応の見通しが立ち、専門用途の需要がある中規模医療機関
ポジショニング大手の汎用機器ではなく、特定用途に強い専門機器
追加調査国別規制、主要代理店、競合価格、導入プロセス、市場規模

海外市場では、ターゲットを選ぶ前に規制、販売チャネル、現地競合を確認する必要があります。市場規模だけでなく、参入できるか、販売できるか、サポートできるかまで見ます。

消費財ブランドの架空ケース

日用品ブランドを見直すケースを想定します。

項目内容
セグメンテーション価格重視、品質重視、環境配慮重視、時短重視などで分類
ターゲティング品質と環境配慮を重視し、ECで定期購入する顧客層
ポジショニング低価格品ではなく、毎日使いやすい環境配慮型ブランド
4Pへの接続詰め替え商品、定期購入、成分説明、レビュー活用、SNS発信

このケースでは、環境配慮だけを訴求するのではなく、使いやすさや継続購入のしやすさまで含めてポジションを設計します。

STP分析は、Excelやスライドにまとめるとチームで共有しやすくなります。

STP分析テンプレートの基本構成

基本構成は次の通りです。

項目記入する内容
分析目的何を判断するためのSTP分析か
対象市場地域、商品カテゴリ、用途、顧客層
セグメンテーション切り口、セグメント一覧、各特徴
ターゲティング優先ターゲット、選定理由、除外理由
ポジショニング比較軸、競合、自社の立ち位置
4Pへの接続商品、価格、販路、販促への落とし込み
根拠データ出典、調査時点、顧客の声、数値
追加調査判断前に確認すべき論点

「セグメント名」だけで終わらせず、選定理由と根拠を入れることが大切です。

新規事業向けSTP分析テンプレートの作り方

新規事業では、参入可否を判断できるようにします。

項目確認すること
市場規模事業として成立する規模があるか
成長性今後の需要増加が見込めるか
顧客課題いま解決されていない課題は何か
競合直接競合、代替手段、現状維持の選択肢
自社適合度技術、販売網、実績、リソースとの相性
参入障壁規制、認証、設備投資、ブランド、販売チャネル

新規事業では、ターゲットを選んだ後に、参入障壁や事業採算まで確認します。

既存事業の見直し向けSTP分析テンプレートの作り方

既存事業では、現状の顧客と理想のターゲットのズレを確認します。

項目確認すること
現在の顧客実際に購入・継続している顧客層
失注顧客商談化したが選ばれなかった顧客層
解約顧客解約理由、利用状況、期待とのズレ
競合比較比較された競合、負けた理由
現在のポジション顧客にどう認識されているか
見直し案狙う顧客、訴求、価格、販路の変更案

既存事業では、営業データ、顧客インタビュー、問い合わせ、解約理由が重要な情報源になります。

チームでSTP分析を進めるためのワークシート例

チームで進める場合は、次の形式が使えます。

セグメント顧客課題市場魅力度自社適合度競合状況優先度根拠・追加調査
セグメントA課題が明確競合価格を追加確認
セグメントB課題が強い顧客インタビューを実施
セグメントC課題が弱い現時点では優先度を下げる

評価は点数だけでなく、根拠も一緒に書きます。根拠が薄い場合は、追加調査に回します。

STP分析とは何ですか?

STP分析とは、Segmentation、Targeting、Positioningの3ステップで、市場を分け、狙う顧客を選び、競合の中での自社の立ち位置を決めるフレームワークです。マーケティング戦略や事業戦略の前提整理に使います。

STP分析は何から始めればよいですか?

まず、分析目的と対象市場を決めます。そのうえで、市場を顧客属性、課題、行動、購買基準などで分けます。いきなりターゲットを決めるのではなく、どのようなセグメントがあるかを把握してから選びます。

STP分析と3C分析の違いは何ですか?

3C分析は、顧客、競合、自社の関係を整理するフレームワークです。STP分析は、顧客市場を分け、狙う顧客と立ち位置を決めるフレームワークです。実務では、3C分析で全体像を把握し、STP分析でターゲットとポジションを決める流れが使いやすいです。

STP分析の後は何をすればよいですか?

STP分析の後は、4P分析で商品、価格、流通、販促に落とし込みます。さらに、4C分析で顧客視点から施策を見直すと、売り手都合になっていないか確認できます。

STP分析でよくある失敗は何ですか?

よくある失敗は、属性だけで市場を分けること、市場規模だけでターゲットを選ぶこと、自社に都合のよい比較軸でポジショニングすることです。顧客課題、競合、自社の強み、到達可能性、収益性まで確認する必要があります。

STP分析は、市場を細分化し、狙う顧客を選び、競合の中での自社の立ち位置を決めるためのフレームワークです。

セグメンテーションでは、市場を属性、課題、行動、購買基準などで分けます。ターゲティングでは、市場規模、成長性、競合状況、自社適合度を見て、優先する顧客層を選びます。ポジショニングでは、顧客が比較する軸に沿って、自社が選ばれる理由を定義します。

STP分析は、4Pや4Cにつなげて初めて施策になります。ターゲットとポジションを決めたら、商品、価格、販路、販促、顧客コミュニケーションまで一貫させます。

市場や競合、顧客ニーズは変化します。新規事業の立ち上げ時だけでなく、既存施策の伸び悩み、リブランディング、海外展開、価格改定のタイミングでも、STP分析を見直しましょう。

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